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  有機農業の特色(2) 少量多品目や保存性のある農産物の生産

 有機農業の特色として、どんな農産物が対象となっているのだろうか。
 有機農農家は多くの場合、小規模農家が、狭い面積で手間をかけて、「有機」という付加価値を付けて農作物を生産し、これを比較的少数の消費者に、慣行栽培のものよりも高く売ることによって経営を成り立たせている。

 有機農産物は、価格をやや高く設定しているので、これを特に必要とする少数の消費者を見つけて販売しなくてはならないので、販路の確保が大変である。

 野菜の場合には、経営的に、ある作物が病害虫の被害を受けて全滅しても、常に販売できる他の作物があるようにしなくてはならないこと、また、個々の消費者は1種類の野菜については少量しか購入しないので、数品目の野菜を同時に販売して消費者の要望に応えるとともに、販売額を確保する必要がある。こうしたことから、野菜については、多種類の野菜を少量ずつ栽培し、春夏秋冬いつでも栽培し、いつでも出荷できるものがあるように、年間、数十種類から百種類を超える野菜を栽培している例が多い。

 有機野菜の販売は、お得意さんを確保して、個別に配達して回る、地産地消の店に出して売る、有機野菜を取り扱ってくれるスーパー等に出す、ネットで注文をとり宅配便等で届けるなど、様々な形態があるが、有機野菜をいつも買ってくれるお得意さんを少なくとも30軒から50軒ほど確保する必要がある。お得意さんの数は、多いにこしたことはないが、有機野菜の生産規模と販売額を、生産と生活の持続性を勘案して決める。

 米などの穀類、豆類、イモ類、果樹類の有機栽培は、野菜よりも比較的広面積で栽培される。これらの作物の販売は、地産地消を理想とするが、消費者が少ない場合には、野菜よりも日持ち輸送性がよいので、より遠方のお得意さんに宅急便などで届けることができる。この場合には、知り合い、口コミ、ホームページでの宣伝などを組み合わせて広く広報し、ネット直販を含めて行う必要がある。

 インターネット直販では、地域内では消費量が少ない物でも、全国の有機農産物愛好者を販売対象とし、宣伝を行き届くようにすれば、ある程度の量を販売できる可能性がある。(参考図書

 上記のように、有機農業における農作物栽培の規模は、労力等の面から管理できる圃場規模・生産量と、販売が可能な量を十分に考慮し、栽培計画を立てる必要がある。

                                            
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